子どもの心とからだの発達部会 2019年度報告

部会発足以来、子どもたちの学校園内で見せる様子から気になったことを話し合う中で、生活習慣に着目するようになりました。その中でも、特に睡眠について話題の中心となり、継続して研究を進めてきています。

今年度は、幼稚園2名、小学校1名、中学校1名、高校2名の計6名の部会員で、昨年度までの睡眠に関する学習結果や児童、生徒、保護者向けアンケート調査結果をもとに、子どもの心とからだの健康支援のために、幼稚園から高校まで一貫した「正しい睡眠習慣を定着させるための教育モデル」の作成をめざし、学校医とも連携して活動を進める計画をたてました。

 

2019年度の活動内容 場所
第1回

活動内容紹介及びメンバー顔合わせ 4/16

第2回

前年度部会で行った睡眠についての研究を振り返り、教育モデルの作成について、具体的な方法を検討。
幼稚園より2018年度実施した睡眠に関するアンケート結果を共有 ※1
小学校より、今年度の睡眠に関する授業計画案について ※2
高校より、入学時と翌1月の生活調査アンケート結果報告等 ※3

小学校
第3回

メール会議
「睡眠に関するアンケート(保護者対象)」結果について

意見交換 ※4

第4回以降

コロナ感染防止対策に伴う学校業務多様化に伴い、部会開催不可能に。

 

※1.幼稚園アンケート結果を共有
〇幼稚園アンケートとは
幼稚園では、2018年度12月に、保護者に対して1.睡眠時間 2.理想の入眠・起床時刻 3.子どもが寝付くまでの親の関わり方 4.困っていること について、アンケート調査を実施した。(無記名、月齢記入、155名中153名回収)
〇部会内共有・確認
・保護者の心配事としては、昼寝に関すること・寝付きのこと・夜中に起きること・家族との生活リズムの違いなどについて、記入されているものが多かった。
・昼寝や添い寝の有用性について知りたい保護者が自由記述から感じられた。いつ、どのように発信する必要があるのか、考えていきたい。
・入園期では、他のことでもいろいろと心配があることも考え、まずは夏休みに入る前に、養護教諭から生活について知らせるお便りの中で、睡眠について(一人ひとり睡眠時間は違うこと・それぞれ生活リズムをつけてあげることが、幼児期は大切であること)を示すことになった。
・起床時間を目にした小学校教諭からは「5歳児12月で、7時以降の起床は遅いのではないだろうか」という投げかけがあり、卒園前にも睡眠について、保護者に伝えられると良いのではないか。

※2小学校、今年度の睡眠に関する授業計画案について
〇今年度小学校は、「哲学創造活動」という開発研究指定校になり、「保健」「体育」の時間が減ることに伴い、今まで単元として扱っていた「睡眠の学習」をどのように位置づけられるか。
〇6年生は、林間学校に行く1週間前から生活リズムを表に記入することになっている。学校側の主旨は、生活リズムを整えて欲しいだが、子どもたちの受け取り方は違うように思う。例えば、書かされている感があったり、いつもは塾等で遅くまで勉強しなければならないが林間学校では早く寝られることができることが楽しみと思っている子どもがいる、など。
〇今年度の6年生は、3年生の時に睡眠に関するアンケートを書いている。一度本人に戻し、それを読んで「その時の自分に」をコメントしたり、振り返ったりすることで、自分自身の成長が見えてくるかもしれないという話になった。そして、自分にとって気持ちよく過ごすための睡眠時間を考えることを通して、なぜ生活リズムを整える必要があるのか、など「なぜ」という問いが生まれ、哲学に結びつくのではないかということになった。

※3 高校
入学時の生活調査アンケート結果や20191月のアンケート結果報告があった。入学して間もなく、勉強についていけるのか、大学進学は大丈夫なのかと焦っている子ども、睡眠時間を減らして勉強しないと大学に行けないと思っている子どもの存在が気になるなどの現況報告もあった。
 また、最近、複数の虫歯を持つ子どもが見受けられるようになってきた。以前は虫歯や歯周疾患は少なく、家庭でケアされていることが伝わってきていたが、今は、そのような環境にない状況のかもしれない。
 反対に、過干渉、共依存的と思われる保護者の関わり方も気になってきた。大学進学についての不安から、子どもの体よりも、先のことを心配するような親もいる。受験システムの複雑化や情報量が多過ぎることにも因るのではないかという話にも及んだ。
 歯科健診の結果を見ることで、家庭環境がわかるのではないか、という話題があがった。今後は、歯科健診結果と家庭をはじめとする生活環境の相互性にも注目し、生活リズム、睡眠について考えていくこととした。 

※4 幼稚園「睡眠に関するアンケート(保護者対象)」結果について意見交換(メール)・今後の展望
〇保護者を問題意識でカテゴライズし、その幼児の実態と保護者が整えている睡眠環境との関係性を検討する
〇日中の活動量と、入眠までの時間の関係を探る
〇他の幼児教育施設との比較の必要性があるのではないか
〇日本は添い寝文化、海外は一人寝文化と聞く。添い寝や入眠までの関わりと、幼児の実態への影響は?実際に、どちらがよいのか
〇日中の活動量や本人の体力によって、睡眠時間は変わってくる。活動の様子も聞いてみたかった。
〇親の理想の睡眠時間等を問うている。理想とのずれ、は何を示しているのか。
〇昼寝しても早く寝る子、睡眠が少なくても元気な子。体力や過ごし方など、いろいろな観点から子どもの育ちを明らかにする必要があるのではないか
〇「保護者の困っていること」は、睡眠に対して、どんなことを課題に思っているのか、実際何に困っているのか、実情把握ができた

今後の研究について
2019年度、計画していた「正しい睡眠習慣を定着させるための教育モデル」を作成するに至らなかったが、主に幼稚園での睡眠に関する調査結果から、多様な意見交換をすることができた。また、外部の研究会で、メラトニン(眠気を引き起こすホルモン)分泌量と日中の活動との関連について学んだ部会員から、睡眠の課題とメディア、スクリーンタイム、日中の受光量などのことは切り離せないのではないかと報告があった。
今後は、〇専門的な見解も加味して分析する〇幼児の実態(体力や日中の活動量など)と睡眠との関係を探る〇保護者の睡眠に対する意識を分析する〇他の幼児教育施設との比較検討をする、なども視野に入れながら、「正しい睡眠習慣を定着させるための教育モデル」を作成したい。
作成したものを、入園前の保護者、小学生、中学生、高校生、またその保護者に対して、どのように発信できるか、検討を重ねたいと思っている。

 

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