2018年

2018年度 教育実践報告

高校家庭科

・児童労働とチョコレートについて調べた高校1年生が、附属小学校5年生に訪問授業を行いました。
・エシカル消費について学んだ高校2年生が、附属中学校1年生に訪問授業を行いました。
・エシカルブランドCLOUDYと高校1年生の商品開発を行い、アフリカで量産し東京ミッドタウン六本木のISETANサローネで販売しました。

メディア
TV  附属高校家庭科教諭葭内ありさが、報道ステーションでゲストコメンテーターを務め、番組内の金曜特集「サステイナブル・ファッション」ではスタジオ授業を行いました。
>ラジオ  NHK WORLD  JAPAN   で高校のエシカルの授業が紹介され、英語他17ヶ国語で放送されました。
新聞
CLOUDYコラボ関連 メディア掲載:朝日新聞 、繊研新聞、オルタナ他
朝日新聞web:https://www.asahi.com/articles/ASM6M5CR3M6MUPQJ00B.html

中学校家庭科

・中学1年生が、附属高等学校の生徒からエシカル消費に関して教えて貰いました。工夫を凝らしたすごろくや寸劇で楽しみながら理解を深めました。

がんばっぺしポーチ画像

がんばっぺしポーチ

・中学2年生が、3年生になってからの「がんばっぺしポーチ」作りに向けて、南三陸ミシン工房(東日本大震災で被災した女性の自立を支援する団体)の代表の方から、工房を立ち上げたきっかけや取り組み、工房の商品を購入することがエシカル消費につながることを教えていただきました。

小学校

・小学校5年生が、高校1年生の訪問を受け、児童労働とチョコレートについてのプレゼンテーションを聞くとともに、グループトークを行いました。
・高校生からフェアトレードについて教えて貰った後、フェアトレードチョコレートを用いた調理実習を行いました。
書籍
「独りで決める、みんなで決める」 NPO法人お茶の水女子大学附属小学校

2018年度の報告 (社会科部会)

2018年度は、本学の岡田了祐先生(社会科教育学)を新たなメンバーに迎え、小学校3名、中学校2名、大学1名の6名でのスタートとなりました。昨年度までの社会的ジレンマ教材についての研究を継続しつつ、新たに次の視点を取り入れた連携研究を行いました。

① 小中の学習の連続性や発達段階を踏まえた社会科学習の在り方についての研究の視点(論争問題を中心に)
② 小学校の研究開発学校のテーマ新教科「てつがく」や、中学校の研究開発学校のテーマ新教科「コミュニケーション・デザイン(CD)科」と社会科の相互関係についての視点

例えば「てつがく」の自己評価に関する議論の中では、②の視点から、次のような議論や問題提起がなされました。

○小学校では、自己評価を重視しているが、中学校ではどうか。
→CD科でも評価規準(作品が伝わったか、どう判断するのか等)をつくり、自己評価している。評価の 客観性や妥当性をどう高めるかが課題である。
〇評価規準がどのようなものであるべきなのか。話し合っていく題材について、評価が変わるのか。
〇評価規準を子ども自身が作ることが学習の一環で、意義があるということに注目したい。
〇自己評価をすることの意義のうち、人間性・道徳性を養うのにどういう効果があるのかという点を考えていくべきである。
〇市民性を育む「てつがく」の授業において、どんな市民性が身につけばよいのだろうか。また、社会科で育てる市民性との違いはあるのか。

一方、論争的問題を通して政治的リテラシーを涵養する授業の在り方を議論した際には、主に①の視点から次のような議論が交わされました。

論争課題「救急車の有料化をするべきかどうか」
○ 子どもが「判断の規準」を練り上げる際に、事実やデータを基にした「判断の規準」からものごとの本質をとらえた「判断の規準」に至るよう深化させていくためには、どうすれば良いのだろうか。
○中学における「効率と公正」との関係は?救急車有料化問題を効率と公正で捉えさせるための授業づくりの可能性を考えると、有料化→効率 有料化しない→公正の視点から中学校でも授業化が可能であろう。また、地方自治、財政、公共サービスの学習の教材として取り入れられるのではないか。
○「有料化しない」ことを主張する時の小学生の論拠は何か。
→高齢者の人数の割合を資料として持ってくる子どもの姿があった。自ら資料を収集する活動につながる。
○小学校での学習を通して身に付けた「判断の規準」が、今後中学校や社会に出てからどのように使われていくかが大切である。成長の様子を継続して調査していきたい。
→これを受けて、附属小学校から附属中学校に進学した生徒が、中学校で記述したワークシートの分析も行った。

 

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平成30年度 活動成果報告

                2019/04/16  担当:増田

連携理科は、小3人・中3人・高3人の理科教諭と大学の先生方2人、SECから5人、博士課程の学生さん2人で構成しています。
各校種の理科授業の実践報告、共通の教材開発、学会や研究会での発表、地域での活動等を行っています。実際の30年度の活動を報告します。

 

1.授業実践報告

①小学校:草野 3年生「磁石の性質」校内授業研の報告
②小学校で授業実践した実験を、実際に中・高・大の教員が体験するワークショップ
小学校:田中 5年生「アナグリフ」地形図を立体視することによって、川の浸食状況を地図から確認することができる。
田中 5・6年生「黒曜石とパーライト」林間学校で訪れた信州で取れる黒曜石の実験
田中 5年生「塩化アンモニウムの結晶実験」を教員も体験し、飴を試食。
③大学:遺伝カウンセラー 高校での遺伝学授業及び遺伝病とその治療方法等の実践報告、高校の教諭の意識調査の報告→附属高・中・小でも取り入れることはできないか、検討

 

2.共通の教材研究

①大学のSEC(サイエンス&エデュケーションセンター)が開発した「電気の利用」単元の実験キッドを附属小の6年生で実践。〔回路カード、豆電球、LED、コンデンサー、乾電池を1人分ずつセットしたもの〕
これを用いて、4人グループでする実験を1人~2人で実験し、一人ひとりが実際に自分の手で回路を組みたて、様々な組み合わせで、電気の通り道やエネルギーの変換等を実感を伴って学ぶことができた。
②小学校5年生で実践した「塩化アンモニウムの結晶観察」を、塩化アンモニウムを高等学校の物理実験でも応用した。

 

3.学会参加と発表

以下の各学会に参加した。各発表内容等は後述のとおり。

  • 理科教育学会(岩手大会)
  • 日本科学教育学会(長野大会)
  • 日本科学教育学会研究会(福島大会)
  • 日本科学教育学会研究会(日本体育大学大会)

〇課題研究、「主体的・対話的で深い学びに活用できるマイクロスケール実験―高校「化学基礎」における実践報告―」、溝口恵、薗部幸枝、増田伸江、佐藤明子、理科教育学会
〇一般研究発表、「ともに科学を創造する理科授業」草野健、田中千尋、増田伸江
〇「構成主義に基づいた小学校理科授業の研究―小学校4年生「もののあたたまり方」の実践を通してー」、増田伸江、薗部幸枝、佐藤明子、理科教育学会
〇「女子も理解しやすい「電流」単元の教育プログラムの開発―デジタル電流計・電圧計の効果―」薗部幸枝、朝倉彬、増田伸江、佐藤明子、加藤美砂子、理科教育学会
〇「減災どこでも理科実験パッケージの開発と検証―手作り筋肉模型の活用法」貞光千春、大崎章弘、里浩彰、榎戸三智子、竹下陽子、千葉和義、理科教育学会
〇「減災どこでも理科実験パッケージの開発と検証―回路カードを活用した小学校電気分野の授業実践―」、榎戸三智子、貞光千春、大崎章弘、里浩彰、竹下陽子、田中千尋、千葉和義、理科教育学会
〇「減災どこでも理科実験パッケージの開発と検証―3Dプリンターを活用した簡易な地形・地域教材の開発―」、大崎章弘、貞光千春、里浩彰、榎戸三智子、竹下陽子、千葉和義、理科教育学会
〇「減災どこでも理科実験パッケージの開発と検証―マイクロレンズを活用した簡易火山灰観察法―、」里浩彰、貞光千春、大崎章弘、榎戸三智子、竹下陽子、千葉和義、理科教育学会
〇「小学校の『もののあたたまり方』の学習―海外の化学教育を参考にー」佐藤明子、増田伸江、田中千尋、草野健、薗部幸枝、理科教育学会
〇ポスター発表、「見えない事象の因果関係理解」末松加奈・増田伸江、理科教育学会
〇ワークショップ、「減災どこでも理科実験パッケージの開発と検証―小学校5年生の理科実験―」サイエンス&エデュケーションセンター竹下陽子、貞光千春、大崎章弘、里浩彰、榎戸三智子、渥美恵子、千葉和義、理科教育学会
〇一般研究発表「新たな災害時に途切れない教育システムの開発と検証」プロジェクトと災害後の理科教育支援の取り組み、竹下陽子・貞光千春・大﨑章弘・里浩彰・榎戸三智子・露久保美夏・千葉和義、第1回日本科学教育学会研究会(福島大学)
〇ポスター発表、「高等学校物理の電気単元における回路カードを使った実験教材の検討 」、榎戸三智子・朝倉彬・貞光千春・大崎章弘・里浩彰・竹下陽子・森本雄一(かがく教育研究所)・千葉和義、第3回日本科学教育学会研究会(日本体育大学)

 

4.地域での活動

①お茶の水科学実験教室Ⅲ、Ⅳ「キュリー夫人の実験教室」 薗部幸枝 2018/8/21 放送大学文京学習センター
対象:附属中学校の1年生と、放送大学関係者の中1前後の生徒
②平成30年度 理科教育推進者研修(第3回)「グループの対話を活用した主体的な学習-小学校4年生『もののあたたまり方』の実践を通して-」 増田伸江、 2019/1/25 、文京区教育センター
③平成30年度夏休み子どもアカデミア 「マイ海藻カードを作ろう!」里浩彰 2018/7/25 お茶の水女子大学 対象:文京区在住の親子20組
④「ニュートンから学ぶ」薗部幸枝、後藤郁子、2018/8/10、文京区教育センター

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2018年度活動報告 連携研究 自学・自主研究部会

1.他校種のグループの先生方との情報交換

毎回の部会では、それぞれの園や学校での子どもたちの活動やようすについて、具体的な情報を交換することができた。特に、毎回の会合場所を幼稚園、中学校、高校で持ち回りにしたことで、学びの環境を直接知ることができ、それぞれの場所で生活する子どもたちのようすをイメージしやすくなった。
自分が好きなこと、不思議に思ったこと、興味を持ったことをとことん追究することは、お茶の水の附属校園全体に共通するものであることを再認識した。幼稚園の学びの中で、探究の種が植え付けられ、そして探究の芽があちらこちらで生まれること。小学校での自学を経て、それらの探究の芽が中学校の自主研究で育ち伸びていくこと。さらに、自分の好奇心が集約されて、高校では深い探究の姿勢を身につけていくこと。そして、それが大学へとつながっていくこと。このような一連の探究活動の段階を、部会での情報交換を重ねることで確認できた。

 

2.中学校での自主研究の本『自分の“好き”を探究しよう! お茶の水女子大学附属中学校「自主研究」のすすめ』の発行(2018年10月)

附属中学校で40年以上続けられてきている「自主研究」について、概要、これまでの歩み、研究の実際、指導の仕方、生徒の研究成果、Q&A等をまとめた本を発行することができた。生徒たちが自分の興味、関心のある好きなことをテーマに、3年間自分なりの方法で探究しまとめる自主研究の魅力が詰まった本である。
また、この本では、中学校だけでなく、自学・自主研究グループに所属していた幼稚園、小学校、高校、大学の先生方にも協力してもらい、コラムや原稿を執筆してもらった。
中学校の生徒や保護者はもちろんのこと、教員、特にこれから教員になろうとしている学生たちにとっても有意義な内容の本だと考えている。
詳しくは本学サイト書店もご覧下さい。

 

『自分の“好き”を探究しよう! お茶の水女子大学附属中学校「自主研究」のすすめ』の目次

はじめに
Ⅰ 自主研究の魅力
Ⅱ 自主研究の3年間の流れ
Ⅲ 自主研究はどのように行われるか
自主研究のいろは「課題設定・課題追究・まとめ」
<コラム1>遊びを中心とした幼稚園生活
Ⅳ お茶太郎・お茶子の自主研究
1 本研究に入るまで
2 スパイラルな学び
3 さまざまな発表会の機会
<コラム2>「主体的・対話的で深い学び」としての自主学習
Ⅴ 進化し続ける自主研究
自主研究の歩み
自主研究を支え続けてきた同窓会(鏡影会)
<コラム3>「自主自律」と高等学校での実践例
Ⅵ 自主研究発表事例のいろいろ
グループ内発表
ポスターセッション
講堂発表
ビジュアル凝縮ポートフォリオ
自主研究集録
Ⅶ 将来につながる自主研究
―大学や社会で自主研究がいかに活かされているか
1 中学校における関心事や取り組んだこと
2 自主研究のテーマ
3 自主研究の学びが高校、大学、社会でどのように活かされているか
4 これまでの人生を振り返って附属学校の教育やそこでの体験など自分自身の人生や価値観に
どのように影響があると思うか
まとめ
<コラム4>好きなことを好きだと叫べる環境
<コラム5>自らに問うて
<コラム6>他者を認める
Ⅷ 自主研究 困ったときのQ&A
おわりに

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