「あなたとわたしと新聞紙と」
附属中学校 保健体育科 君和田 雅子
中学校1年生の体つくり運動の授業では、新聞紙を使った体ほぐしのワークを行っている。小中の架橋の時期である1年生では「あなたとわたしと〇〇と」というテーマで、二人組から四人組の少人数グループで、まずはからだで動きを「合わせる/ずらす」から始め、次第にものを使っての関わり、新聞紙ボールを使っての基本的な動きでの関わりに発展させ、球技系の種目、またその他の領域にも応用できるウォーミングアップにつなげられるように計画した。(表1)
表1
本校生徒の特徴として、球技系の種目に不可欠な、ボールを扱う一連の動作を苦手とする生徒がみられる。また、ボールを扱うということは少なからず友達や仲間、他者との関わりを意識して動くということであり、お互いの気持ちやタイミング、様子を「よくみて」「あわせて」動くことが肝要と考えた。扱いが容易な新聞紙であるが、次々と早急に課題を発展させてしまうと、所々つまずきが見られる。この単元ではコーディネーショントレーニングの実践ではなく、あくまでも「あなたとわたし」の関係性、身体や動きを通した訊き合いを育てたい。大声で夢中になって、というよりむしろ、お互いに集中して感じ合って動くことをもっと深める学びのために、ねらいに沿った単元内容の選択と配列が、今後の課題である。
本部会では、新聞紙ボールを使った2人組、4人組のワークを実際に行った。勢いよく力いっぱい、というよりはペアやグループになった相手の動きを「よく見て、すぐ動く」、「合わせて動く」のは思うより難しい。「身体や動きを通した訊き合い」は相手を思いやり、相手と合わせる体の対話となり、感覚の共有にもつながると考える。体育のみならず、発達段階や教科をクロスして、面白く有意義なワークとなった。