附属中学校 国語科 戸谷順子
附属中学校では3年生が4月下旬に修学旅行に行くことになっている。行き先は岩手県(29 年度は平泉・釜石・遠野へ)。2年生1月頃より国語・社会・理科、そして学年で事前学習を行ってから当日を迎えるようにしている。国語科では、2年生の早い時期に俳句の学習を行い、修学旅行に向けては源義経関連(『平家物語』『義経記』)や『遠野物語』松尾芭蕉の『おくのほそ道』(作品冒頭部と「平泉」の段)などを事前に学習している。
俳句とこれらの文学作品の学習を踏まえ、修学旅行後に句会を行った。今回の句会のテーマは「修学旅行」である。修学旅行に行く前に、「修学旅行先で俳句を詠むこと」「修学旅行後に句会を行うこと」を生徒たちに伝えた。
修学旅行後、投句(自作の句を短冊に書いて教員に提出)を行い、5月中旬に句会を行った。句会の流れは下の発表通りである。
【句会の流れ】 |
2年次にも句会を行っているため、グループごとの進行は立候補した生徒に任せた。どの生徒も誰が詠んだ句であるのか分からない状態で選句をしているので、程よい緊張感の中、句会が進んだ。選句結果発表の段階では誰の句か分からないまま、選んだ句の素晴らしさを皆が述べ合うため、選ばれた句の詠み手は(中学生なりに必死に)嬉しさを隠すこととなる。最後に最優秀句に選ばれた生徒が「はい、これは私の句です」と名乗りをあげると、拍手喝采となるのだ。(その俳句からは想像できない生徒が詠み手であると、どよめきも起こる。)
国語科で表現活動を行う場面はいろいろとあるが、皆で同じ場所を訪れ、思い出も共有した中で「五七五」の十七音で自分の思いを表現することは中学生にとって意味のある活動ではないかと思われる。また、季語を通してその句の詠み手と季節感を共有でき、情景を思い浮かべることも可能だ。さらに、句会は自己完結せず、他者との交流をする中で自分が表現したい世界を理解し合うということにもつながる。俳句というと敷居の高い印象もあるが、修学旅行など学校行事をテーマに気軽に詠んでみるのもいいのかも知れない。
今回、修学旅行を経て3年生全員が詠んだ俳句を「第15 回青春俳句大賞(龍谷大学主催)」の「想い出の修学旅行部門」に応募したところ、本校生徒が最優秀賞をいただくこととなった。