年度報告

2020年度の報告(外国語活動・英語部会)

〇授業実践の発表
〈高校〉お互いを知るためのインタビュー動画づくりの取り組み~73 Q’sを参考に
〈中学校〉英語科における「探究」とは~遠隔学習、対面学習の両面から
〈小学校〉多言語にも触れながら行う英語コミュニケーション活動/初めての「評価」
〇評価について
・3観点について、それぞれをどのように見取り、評価するのか
・外国語における「学びに向かう力」とは
〇それぞれの教科観から連携の柱を探る
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2019年度の報告(外国語活動・英語部会)

〇新学習指導要領施行に向けて

・評価についての情報共有
・小学校外国語科の教科書についての情報共有

〇全国学力調査(スピーキング)を実施しての感想等の共有

〇各校での授業実践、主体的・自律的に学習に向かうための取り組みの共有

〇授業見学・交流

・・・2月に予定していましたが、新型コロナウイルス感染症による休校により中止となりました。

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2020年度報告 (社会科部会)

2020年度も新たなメンバーを迎え、小学校3名、中学校2名、大学1名の6名で連携研究を進めました。、コロナ禍の影響で9月以降の開催となり、昨年度末に予定していた連携研究テーマに加え、「コロナ禍における実践知の共有」をテーマに、Web会議も取り入れながら少ない中でも充実した活動を行うことができました。2020年度の連携研究会の内容は、以下の通りです。

 

<今年度の主な連携研究テーマ>

◎ コロナ禍における実践知の共有

○ 附属小学校から進学してきた生徒がどのように社会科の力を深めているか。

○ 教室空間での他者とのやり取り(話し合い、議論)がどのように接続し変化しているか。

 

<日程と主な内容>

・ 9月 8日(火) 活動内容の検討、小中の情報交換

※中学校に寄贈された「インタラクティブ地球儀スフィア」の情報共有

・11月17日(火) 中学校の研究について討議~コロナ下での遠隔授業の実践・工夫について

・12月 1日(火) 部員の日本社会科教育学会での発表についての意見交換

・ 1月12日(火) 小学校の研究発表について討議

・ 3月 2日(火) 次年度に向けて(活動のまとめ)

※3月には、中学2年生の地理学習(中国・四国地方)の学習で生徒が作成した町おこし・村おこしプランの作品を社会科部会の教員全員で一緒に評価した。

 

 

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子どもの心とからだの発達部会 2019年度報告

部会発足以来、子どもたちの学校園内で見せる様子から気になったことを話し合う中で、生活習慣に着目するようになりました。その中でも、特に睡眠について話題の中心となり、継続して研究を進めてきています。

今年度は、幼稚園2名、小学校1名、中学校1名、高校2名の計6名の部会員で、昨年度までの睡眠に関する学習結果や児童、生徒、保護者向けアンケート調査結果をもとに、子どもの心とからだの健康支援のために、幼稚園から高校まで一貫した「正しい睡眠習慣を定着させるための教育モデル」の作成をめざし、学校医とも連携して活動を進める計画をたてました。

 

2019年度の活動内容 場所
第1回

活動内容紹介及びメンバー顔合わせ 4/16

第2回

前年度部会で行った睡眠についての研究を振り返り、教育モデルの作成について、具体的な方法を検討。
幼稚園より2018年度実施した睡眠に関するアンケート結果を共有 ※1
小学校より、今年度の睡眠に関する授業計画案について ※2
高校より、入学時と翌1月の生活調査アンケート結果報告等 ※3

小学校
第3回

メール会議
「睡眠に関するアンケート(保護者対象)」結果について

意見交換 ※4

第4回以降

コロナ感染防止対策に伴う学校業務多様化に伴い、部会開催不可能に。

 

※1.幼稚園アンケート結果を共有
〇幼稚園アンケートとは
幼稚園では、2018年度12月に、保護者に対して1.睡眠時間 2.理想の入眠・起床時刻 3.子どもが寝付くまでの親の関わり方 4.困っていること について、アンケート調査を実施した。(無記名、月齢記入、155名中153名回収)
〇部会内共有・確認
・保護者の心配事としては、昼寝に関すること・寝付きのこと・夜中に起きること・家族との生活リズムの違いなどについて、記入されているものが多かった。
・昼寝や添い寝の有用性について知りたい保護者が自由記述から感じられた。いつ、どのように発信する必要があるのか、考えていきたい。
・入園期では、他のことでもいろいろと心配があることも考え、まずは夏休みに入る前に、養護教諭から生活について知らせるお便りの中で、睡眠について(一人ひとり睡眠時間は違うこと・それぞれ生活リズムをつけてあげることが、幼児期は大切であること)を示すことになった。
・起床時間を目にした小学校教諭からは「5歳児12月で、7時以降の起床は遅いのではないだろうか」という投げかけがあり、卒園前にも睡眠について、保護者に伝えられると良いのではないか。

※2小学校、今年度の睡眠に関する授業計画案について
〇今年度小学校は、「哲学創造活動」という開発研究指定校になり、「保健」「体育」の時間が減ることに伴い、今まで単元として扱っていた「睡眠の学習」をどのように位置づけられるか。
〇6年生は、林間学校に行く1週間前から生活リズムを表に記入することになっている。学校側の主旨は、生活リズムを整えて欲しいだが、子どもたちの受け取り方は違うように思う。例えば、書かされている感があったり、いつもは塾等で遅くまで勉強しなければならないが林間学校では早く寝られることができることが楽しみと思っている子どもがいる、など。
〇今年度の6年生は、3年生の時に睡眠に関するアンケートを書いている。一度本人に戻し、それを読んで「その時の自分に」をコメントしたり、振り返ったりすることで、自分自身の成長が見えてくるかもしれないという話になった。そして、自分にとって気持ちよく過ごすための睡眠時間を考えることを通して、なぜ生活リズムを整える必要があるのか、など「なぜ」という問いが生まれ、哲学に結びつくのではないかということになった。

※3 高校
入学時の生活調査アンケート結果や20191月のアンケート結果報告があった。入学して間もなく、勉強についていけるのか、大学進学は大丈夫なのかと焦っている子ども、睡眠時間を減らして勉強しないと大学に行けないと思っている子どもの存在が気になるなどの現況報告もあった。
 また、最近、複数の虫歯を持つ子どもが見受けられるようになってきた。以前は虫歯や歯周疾患は少なく、家庭でケアされていることが伝わってきていたが、今は、そのような環境にない状況のかもしれない。
 反対に、過干渉、共依存的と思われる保護者の関わり方も気になってきた。大学進学についての不安から、子どもの体よりも、先のことを心配するような親もいる。受験システムの複雑化や情報量が多過ぎることにも因るのではないかという話にも及んだ。
 歯科健診の結果を見ることで、家庭環境がわかるのではないか、という話題があがった。今後は、歯科健診結果と家庭をはじめとする生活環境の相互性にも注目し、生活リズム、睡眠について考えていくこととした。 

※4 幼稚園「睡眠に関するアンケート(保護者対象)」結果について意見交換(メール)・今後の展望
〇保護者を問題意識でカテゴライズし、その幼児の実態と保護者が整えている睡眠環境との関係性を検討する
〇日中の活動量と、入眠までの時間の関係を探る
〇他の幼児教育施設との比較の必要性があるのではないか
〇日本は添い寝文化、海外は一人寝文化と聞く。添い寝や入眠までの関わりと、幼児の実態への影響は?実際に、どちらがよいのか
〇日中の活動量や本人の体力によって、睡眠時間は変わってくる。活動の様子も聞いてみたかった。
〇親の理想の睡眠時間等を問うている。理想とのずれ、は何を示しているのか。
〇昼寝しても早く寝る子、睡眠が少なくても元気な子。体力や過ごし方など、いろいろな観点から子どもの育ちを明らかにする必要があるのではないか
〇「保護者の困っていること」は、睡眠に対して、どんなことを課題に思っているのか、実際何に困っているのか、実情把握ができた

今後の研究について
2019年度、計画していた「正しい睡眠習慣を定着させるための教育モデル」を作成するに至らなかったが、主に幼稚園での睡眠に関する調査結果から、多様な意見交換をすることができた。また、外部の研究会で、メラトニン(眠気を引き起こすホルモン)分泌量と日中の活動との関連について学んだ部会員から、睡眠の課題とメディア、スクリーンタイム、日中の受光量などのことは切り離せないのではないかと報告があった。
今後は、〇専門的な見解も加味して分析する〇幼児の実態(体力や日中の活動量など)と睡眠との関係を探る〇保護者の睡眠に対する意識を分析する〇他の幼児教育施設との比較検討をする、なども視野に入れながら、「正しい睡眠習慣を定着させるための教育モデル」を作成したい。
作成したものを、入園前の保護者、小学生、中学生、高校生、またその保護者に対して、どのように発信できるか、検討を重ねたいと思っている。

 

子どもの心とからだの発達部会 2020年度報告

2020年度活動報告

今年度は、幼稚園2名、小学校1名、中学校1名、高等学校2名の計6名部会員で、5回の会合を持ちました。昨年度に引き続き、子どもの生活習慣の実態把握からコロナ禍における子どものメンタルヘルスについて着目し、研究を進めてきました。
幼稚園から高校まで、保護者ならびに子どもを対象として、発達段階に合わせて連続的な教育システムの開発を行っていく予定です。また、養護教諭による保健教育に限らず、保健体育科や社会、理科、家庭科等の関連教科との連携も考慮し、縦と横の広がりを意識したカリキュラム作りを目指したいと考えています。

 

活 動 内 容
第1回 活動内容紹介及びメンバー顔合わせと研究計画
第2回 事例検討
第3回 高校の実践報告と検討
第4回 今後の方向性について検討
第5回 中学校、高校の実践報告と検討ならびに次年度に向けた課題

 

各回の詳細

【第2回】

子どものメンタルヘルスの支援について高校の事例から、自己肯定感の低い子どもへの支援、不安を抱えたときの対応などについて情報共有や教育的支援のアイディアを出し合った。
・これまでに実施している具体的な支援として、「マインドフルネス」、「リラクゼーション」「セルフコンパッション」がキーワードとして挙げられた。

【第3回】

Ⅰ 実践報告(高校体育の実践)

8月末の暑い時期に教室内でできる教材として作成した。
・自分のからだに意識を向ける。
・体の力を抜いてゆったりすることを自覚する

① コリトルボールをやってみよう:コリを感じるところが人によって異なる② 呼吸法:腹式呼吸の実践、ゆったりしている自分に気づく
③ 耳たぶあんま:自律神経を整える

授業を終えて

・生徒の感想から、予想以上にニーズがあることが分かった。
・呼吸法を取り入れていくことの大切さに気付くきっかけにはなった。
・日常の生活の中で継続的に取り入れられるようにするには、何が必要か?

Ⅱ 実践報告を受けて

1 子どもが日常的に実践できるようにするためにはどうしたらよいか?

・習慣づけるための工夫
朝の一定時間に行う、友達と一緒に実践する、授業の最後の1分間に行う。

・子どもが関心を持ちそうな言葉がけ
例えば、人気アニメのキャラクターの言葉「全集中の呼吸」を取り入れてみる。

・モチベーションを上げる
〇〇すると〇〇を得る(ご褒美型)

・意外性
リラックスして、「(授業中ではあるが)寝てもいいよ」

2 何を柱に経年的なものにつなげていくのか?

・「呼吸法」の原理的な理解(腹式呼吸と教式呼吸、情動呼吸と代謝呼吸など) と実践レベルの明確化を示す必要がある。
・マインドフルネスを導入し、こころをしなやかに鍛えていく
・保護者を巻き込んでの実践

保護者への啓発も大切
∗幼稚園の実践:保護者を対象とした「えがお育」の講演会

【第4回】

 子どもの心の育て方として、発達段階ごとに柱になるものと一貫して実践していくものを明確にしていく作業が必要である。実践していく中で、子どもの反応を校種間で共有しながら改良していくことも大切である。メンタルヘルスの学習を行う際に、自分をどう支えるか、自分には起こらないかもしれないが、友だちに起こったときにどうすればよいのかという視点が必要である。さらに大人として成長する中で、これから生きるためのヒントになると良いと考える。
また、教材の一つとして「認知行動療法」を導入する際は、学校精神科医やスクールカウンセラーに相談することも必要である。
コロナ禍である今だからこそ「マインドフルネス」の実践が必要と共通認識のもと、継続的に学習の積み重ねが重要であるとの意見があり、次年度の予定を確認した。

小学校: マインドフルネス(6年生対象)の実践
高 校: 体育では、「体つくり」に組み込んで、保健では、労働と健康の単元でメンタルヘルスの学習を予定

 小学校の実践など校種間の実践を見学しあうことやマンドフルネスの実践を進めていくうえで、その意義を伝え続けていくことも大切であることを確認した。

【第5回】

Ⅰ 第4回以降の実践報告

(1)中学校の実践報告

・ネガティブ感情を否定しやすい集団
・コロナ禍、また発達段階としてもストレスがたまりやすい状況(友達関係、親子関係、進路など)
① ネガティブ感情にも役割があること、あって当然であること
② 自分の「引き出し」に対処方法を増やしていく
③ マインドフルネスの紹介

(2)高校の実践報告

・労働によるストレスの軽減
・労働者のメンタルヘルスの向上のために何が必要か?

① 働くことと健康
② 労働者のメンタルヘルスの実態
③ メンタルヘルスの維持・向上のために必要なこと(ストレスマネジメント、マインドフルネス、病気への理解と精神医療への早期アクセス)

意見交換

・「たよること」が大切とあったが、どのポイントで頼るのか?「たよること」は難しい。
大切な人が心の不調を訴えたときなのか?「人とつながり話すこと」とあるが、頼るより気づくことが先なのか?
→授業では「たよる」は使っていない。「人〝財″を活用する」

自分の心の変化(ざわつく、そわそわする)に早めに気づくこと
対処の選択肢としての「つながる、話す」
・委員会、係の長になった人の例
メンバーに仕事を振ったり、お願いしたりすることができない
仲が良いように見えて、お願いできない関係なのか
「頼る」こととはどういうことなのか
「お願いする」⇔「お願いされる」Give and take のワーク
ひとには何かしら得意なことがある、自分の売りになるものを見つける
お願いできない人は「悪い」と思っている?
他者の反応を気にする

・本学附属の人の特性として
自分で行いたい、自分で仕事を手放せない
完成度の高いものを求める、やり始めたら大変になってしまう人もいる
附中出身の生徒が外部中出身の生徒に指示を出しにくい(指示を躊躇する)

・集団指導では適さない内容
甘えるのが下手な人
甘えられない人、頼ることができない人、お願いできない人

今年度の実践報告のまとめと次年度の計画

 スパイラル的に実践することの意義として、社会経験や精神発達は個々で異なることから、段階的に学習する機会を作ることで、自分事としてとらえる時期が何れ来ることを期待する。
どのように考えても、思っても、考えても受け止め、認めてもらえる時間が提供されること、評価されない、自分をさらけ出せる、自由な時間、心を楽にして受け止めることができる時間の設定は大切である。(自己受容、他者受容)
幼稚園から高校までの実践を一覧表に示したい。その上で、内容の再検討、次の校種への授業内容の申し送りを行う。「柱」に従って、伝え方のポイントをまとめられると良い。
次年度初めまでの課題として、心の健康教育に関わる内容を挙げ(学級指導、学年指導なども含めて)、カリキュラムの一覧表作りを目指していくことを確認した。

参考文献等

「『レジリエンス』を育てる本」藤野 博 (監修), 日戸 由刈 (監修) 講談社 (2015)

「子どものためのマインドフルネス」キラ・ウィリー  (著), アンニ・ベッツ (イラスト), 大前 泰彦 (翻訳) 創元社 (2018)

「10代のうちに知っておきたい 折れない心の作り方」水島広子著 紀伊國屋書店 (2014

「ルポ教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち(新書版)」おおたとしまさ著 ディスカヴァートゥエンティワン (2019)

「不安や悩みへの対処としての呼吸法」東京有明医療大学 学長 本間 生夫https://www.kobun.co.jp/Portals/0/resource/dataroom/magazine/dl/hoken97.pdf

「セルフケアの道具箱 ストレスと上手につきあう100のワーク」 伊藤絵美 晶文社(2020)

こころの健康副読本編集委員会編「中学校保健体育副読本『悩みは、がまんするしかないのかな』」https://psycience.com/pdf/kokorobookre.pdf

・参考APP「メイスーン」LAVA提供

2020年度活動報告 連携研究 自学・自主研究部会

幼稚園事例報告

 幼稚園では昨年より教育目標の見直しを図り、新たに「子どもへの願い」として、以下の3つに整理した。

      ・自分のことを大切にする ・周りの人を大切にする ・環境を大切にする

目標に向かって、到達できたかどうかで子どもを評価するのではなく、一人ひとりの育ちの過程を大切にし、子どもと関わる教師や保護者が、子どもを中心につながりあい、支え合いながら、共に育ち合うことを目指したいと考えている。今年度は、感染拡大防止に伴い、園生活も例年通りにはいかないことが多かったが、そのような中でも、新しい情報発信システム(ムードル)やメール等を活用し、保護者の意見や質問を募るなどの対話的なやりとりを重ねてきた。

 こうした取り組みを、今年度の子どもたちの園内での遊びや生活の様子を写真で伝えつつ、報告した。他校種のアドバイスや意見をもとに、さらに発達を見通しつつ、子どもの今をみつめ、子ども理解を深めていきたいと考えている。

 

小学校事例報告

 子ども一人ひとりが自ら主体的に学ぶための学習のあり方を、「個の尊重」と「協働(協同)」の視点から探究し続けるという本校の「てつがく創造活動」の研究のもと、自学・えらぶにおいては、子ども個人の興味や好奇心に基づき、学び方を身に付け、探究心を養うこと、自分を見つけ、自分を育てることを大切にしたいと考えている。

 第2学年では、しなくてはいけないことと自分がしたいことのバランスを取りながら計画を立てること、自分の好きを追究しながら自分や他者に出会うこと、個人の学びから学びが広がっていくことを根底に置いて活動している。その一例について記述を試みたものを報告し、子どもの見とり方や教師間での共有について検討した。

 第6学年の自学では「自分の好きを伝えよう」と題し,独り善がりにならない自学を意識してジャンルごとに分かれて取り組んだ。3学期から一人一台PCを活用できるようになったこともあり、互いに触発し合いながら、まとめ方や伝え方など表現方法も工夫した。代表者発表会では4年生に来てもらい、他者(他学年)と関わる場面を設けることで,自分の探究をさらに深めていった。

 

中学校事例報告

 総合的な学習の時間で行われている「自主研究」の3年間に渡るカリキュラムの流れについて紹介をした。 2020年から附属中学校では完全に一人一台の PC を活用できる体制になった。それによって、生徒の自主研究の探究のプロセスも大きく変わろうとしている。例えばインターネット等で安易に情報が集められる一方で、学校図書館の利用が減っているという課題がある。 情報機器やネット環境を活用した探究的な学習の支援について、どのように考え実践をしているか、また課題はどのようなところにあるか、他校種からのアドバイスも受けながら検討を進めた。  

 

高等学校事例報告

 附属高校は2019年度よりSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、2年目にあたる。そのなかで、1年次の課題研究基礎を土台に実施される2年次の課題研究Ⅰについての事例を紹介した。附属校園出身の生徒が、これまでの学びを踏まえてどのような探究活動を行っているかなどの情報交換や、小中高の接続を今後どのように意識して高校での学びを深めていくかなどの課題について、意見交換した。

2019年度活動報告 自学・自主研究部会

他校種のグループの先生方との情報交換

 自学・自主研究部会では、幼稚園・小学校・中学校・高等学校の4つの校種が集い「探究」をテーマに事例検討を進めている。毎回のミーティングではそれぞれの学校で持ち寄った探究の事例を紹介しあい、どのような学びが生まれているか、どのような課題が見られたかなどについて検討し合った。

 こうしてさまざまな校種で「探究」というテーマで検討し合うことで、学習者の発達段階に即した探究の表れについて見ることができるとともに、どのような支援が可能であるか協同で検討し合うことができた。

 

2019年度 活動報告 

高等学校

  • スーパーグローバルハイスクール(S S H)学校設定科目必修家庭科「生活の科学」にて、サステイナブルを軸としながら身近な生活を科学的に捉える視点に着目した授業を行いました。(詳細は高校H Pを参照ください)
  • 児童労働とチョコレートについて調べた高校1年生が、附属小学校5年生に訪問授業を行いました。
  • エシカル消費について学んだ高校2年生が、附属中学校1年生に訪問授業を行いました。
  • 高校1年生がエシカルブランドCLOUDYの商品開発を行いました。

 

中学校

  • 中学3年生が南三陸ミシン工房(東日本大震災で被災した女性の自立を支援する団体)から教材を提供していただき、「がんばっぺしポーチ」を作りました。
  • 中学1年生が附属高等学校の生徒からエシカル消費に関して教えて貰い、小原木Myタコちゃんプロジェクト(梅村マルティナFS気仙沼アトリエ)に取り組みました。

 

 

小学校

  • 附属高校の1年生が小学校を訪問し、5年生との合同授業を行いました。はじめに高校の代表生徒が「チョコレートの秘密」というプレゼンテーションを行い、その話を受けて、小グループごとに、世界の児童労働の実態や、子どもたちが教育を受けられないことによる影響などについて対話をしました。

 

 

 

 

 

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2018年度の報告 (社会科部会)

2018年度は、本学の岡田了祐先生(社会科教育学)を新たなメンバーに迎え、小学校3名、中学校2名、大学1名の6名でのスタートとなりました。昨年度までの社会的ジレンマ教材についての研究を継続しつつ、新たに次の視点を取り入れた連携研究を行いました。

① 小中の学習の連続性や発達段階を踏まえた社会科学習の在り方についての研究の視点(論争問題を中心に)
② 小学校の研究開発学校のテーマ新教科「てつがく」や、中学校の研究開発学校のテーマ新教科「コミュニケーション・デザイン(CD)科」と社会科の相互関係についての視点

例えば「てつがく」の自己評価に関する議論の中では、②の視点から、次のような議論や問題提起がなされました。

○小学校では、自己評価を重視しているが、中学校ではどうか。
→CD科でも評価規準(作品が伝わったか、どう判断するのか等)をつくり、自己評価している。評価の 客観性や妥当性をどう高めるかが課題である。
〇評価規準がどのようなものであるべきなのか。話し合っていく題材について、評価が変わるのか。
〇評価規準を子ども自身が作ることが学習の一環で、意義があるということに注目したい。
〇自己評価をすることの意義のうち、人間性・道徳性を養うのにどういう効果があるのかという点を考えていくべきである。
〇市民性を育む「てつがく」の授業において、どんな市民性が身につけばよいのだろうか。また、社会科で育てる市民性との違いはあるのか。

一方、論争的問題を通して政治的リテラシーを涵養する授業の在り方を議論した際には、主に①の視点から次のような議論が交わされました。

論争課題「救急車の有料化をするべきかどうか」
○ 子どもが「判断の規準」を練り上げる際に、事実やデータを基にした「判断の規準」からものごとの本質をとらえた「判断の規準」に至るよう深化させていくためには、どうすれば良いのだろうか。
○中学における「効率と公正」との関係は?救急車有料化問題を効率と公正で捉えさせるための授業づくりの可能性を考えると、有料化→効率 有料化しない→公正の視点から中学校でも授業化が可能であろう。また、地方自治、財政、公共サービスの学習の教材として取り入れられるのではないか。
○「有料化しない」ことを主張する時の小学生の論拠は何か。
→高齢者の人数の割合を資料として持ってくる子どもの姿があった。自ら資料を収集する活動につながる。
○小学校での学習を通して身に付けた「判断の規準」が、今後中学校や社会に出てからどのように使われていくかが大切である。成長の様子を継続して調査していきたい。
→これを受けて、附属小学校から附属中学校に進学した生徒が、中学校で記述したワークシートの分析も行った。

 

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2019年度の報告 (社会科部会)

2019年度は、小学校3名、中学校2名、大学1名の6名で研究を進めました。年度当初に、高等学校地歴科・公民科の先生方とも情報交換の機会を持つことができ、小中高の社会科系教科の連携も進みつつあります。

主な連携研究の内容としては、研究テーマとしている論争問題を取り上げた学習の在り方、公開授業の学習指導案を小中連携の視点からの検討、附属小学校から附属中学校に進学した児童生徒の9年間での社会科の学びの深まりや変化についての分析などを行いました。詳細は以下の通りです。

 

部会の研究テーマ 小中の学習の連続性や発達段階を踏まえた、小中連携の視点からの社会科学習の在り方についての研究(論争問題を中心に)

 

◎中学校の公開研究会「日本の人口~外国人人口の増加~」の授業分析

<授業の主題設定の主眼>

・日本の人口構成と多文化共生の視点(自分たちの地域で、外国人とともに暮らすよりよい社会を作るために必要なことを調査・考察し、提案する授業)

・中学校の研究主題である、「探究的な学び」につなげるための工夫(必要性・必然性のある学びと振り返りを取り入れること)

 

<討議の概要>

○授業の在り方について

・授業が地理なのか、公民なのか。社会科だから分野を超えることにこだわらなくてもよい?「分野」をどのように考えるべきか、地理的分野だからこそできることもあるのではないか。

・子どもたちの提案に対する、リアルな社会での外国人の反応を見てみたかった。外国人が実際に望んでいることからの問題・課題提起も必要ではないか。

・本授業で学んだことをどのように活かせるか。

→「追究の仕方」は今後様々な場面で活かされるだろう。

○中学校の研究主題(探究的な学習)について

・中学校の研究主題は、小学校が目指すものともつながっている。小学校でも探究的な学習と振り返りを大事にしている。生徒自身が課題を見つけたり、設定したりすることはあるのか。

→中学校でも疑問や問いから学習課題を設定することがある。ただ、生徒の関心が低めである内容(外国の歴史、世界地理等)から主体的に課題を見つけさせることは難しいと感じる。ネットニュースでもよいので、社会とつながることが大切であると考えている。

・その際、授業の導入をどうするか。どのように課題と向き合わせるか。小学校ではどのように単元を構成しているのか。

→小学校では、例えば米作りであれば、米袋の読み取りから日本の米作りの課題へつなげている。

・導入から探究をさせていることも大事であると気づいた。作業・課題から探究につなげることもできるだろう。社会科の成り立ちが社会の課題解決から来ているからではないか。他の教科ではどうなのだろうか。

・中高校生は資料から意味を見出して課題を考え追究に向かうことができるが、小学生は生活に結び付いていないと追究するのが難しい。追究の意義や目的を納得しないと追究しないのではないか。

→追究においては、「意味づけ」が大事ではないか。例えば江戸と明治の街並みの比較(長屋から一軒家への変化)は、火事への対応ではないか?といった価値づけ、意味づけ。意味づけすることとは自分ごととして考えることではないか。

○振り返りの方法について

・振り返りの在り方に興味がある。論争問題は振り返りから次の問いを考えていくが、中学校ではどのように考えているか。

→中学校では「フィードフォワード」の振り返りが大切であると考えている。しかし、毎回時間が確保できるわけではない。その日の授業内容を簡単に振り返る程度にとどまることも多い。

・長いスパンでの振り返りを考えたことはあるか。

→中学校では、1学期間を振り返って「学び方」を振り返る時間を設定した。具体的には、ノートを用いて振り返りを行わせた。2学期に学び方が大きく変わった生徒も見られた。また、他者の学び方から、自分の学び方の改善点に気づく生徒がいた。

○その他

・現6年生が5年生の時に、外国人労働者問題を扱っている。今後の小中の連携がとれるとよい。

追記:2020年度、中1になってから、世界の諸地域(北アメリカ州)で連携させて取り扱った。

 

◎実践報告と討議

○小学校

外国人労働者問題について考えよう(2018年度の実践報告)

○中学校

・地理的分野 「世界各地の人々の生活と環境」~ICTを活用した「生徒自らが問いを立てるレポート」の作成と振り返り(2019年度の実践報告)

・歴史的分野 「近現代の日本と世界」~「自分とつながる戦争」レポートの作成と、ICTを活用した閲覧、振り返り(2018・19年度の実践報告)

・公民的分野 「私たちと現代社会」~ルーブリックを使用したパフォーマンス課題(文化の継承と創造の意義)

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